29歳で菓子職人になる日記

28歳製菓学校に通いながら、見つけたおいしい!好き!を綴ります

料理やお菓子の道を目指す人におすすめの本    『美味礼讃』海老沢 泰久 著(文春文庫)

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こんにちは。じーんです。

今日の本はこちら!

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〇美味礼讃(海老沢 泰久 著)文春文庫

実在する、本物のフランス料理をはじめて日本に広めたひと「辻静雄」の、新聞記者から日本一の専門学校をつくるまでの半生を描いた物語です。ただしフィクションなので、伝記的小説という感じです。(私は最初、ノンフィクションかと思ってました。。)

 

私がこの本を知ったのは、製菓学校の公衆衛生学の先生が、「夏休みの時間あるときにぜひ読んでみて!」とおすすめされたのがきっかけでした。

 

でもその時は、堅苦しそうな本だな~というのが第一印象で(表紙見た時の勝手なイメージ・・・)夏休みには結局読みませんでした。

 

それから半年くらいたち、ブックカフェ「リーディングスタイルあべの」に行ったとき、「あのとき先生が言ってた本あるかな~」と料理本の棚に売ってるのを見つけて、カフェに持ち込んでためしに読み始めたのが運命の出会い!

 

冒頭読んでるとき、なぜかずっと鳥肌たってるくらいすごかったです。まず最初、辻さんのある日のディナーパーティーの様子から始まるのですが、料理人の準備の様子や緊張感、ディナーの時のひりひりするようなやりとりが細かく書かれていて、こっちまでどきどきしてしまいます。重厚なドラマを見ているような気分でした。

 

その後、回想っぽく、新聞記者だった辻さんが結婚し、学校を継ぎ、フランスにわたって食べ歩き、本物のフランス料理を日本にもたらしていく様子が描かれはじめます。

 

「食べ歩き」といっても、昼にフルコース食べて少し休憩、夜にもう1回フルコース食べるなんてもので、しかも毎日!と思うと想像もつかないです。私だったら料理が一生嫌いになりそう。。その前に身体壊すかな。

 

辻調グループの学校に通っている人が読めば、「辻静雄」を身近に感じられますし、学校の原点を知ることができて、学校へ行くモチベーションが上がると思います。

 

「美味礼讃」の中で印象に残っているのは、フランスの三ツ星レストランの女主人マダム・ポワンが辻静雄に言ったことば

 

~「料理をつくる人間のつとめは、お客さんにつねにささやかなうれしい驚きをさしあげることだって。だから私もそうしているの」~

 

いつも 食べる人に「ささやかなうれしい驚き」をもたらすようなお菓子を、私もつくっていきたいなという小さな目標ができました。